2024年から始まった新NISAは、大きな注目を集めています。一方で旧NISAの運用や、どう売却したらいいのか悩む方も多いです。
旧NISAは非課税期間が決まっているため、今後の運用や売却を検討する必要があります。非課税期間は、2023年に一般NISAを始めた方は2027年まで、つみたてNISAの場合は2042年までです。
この記事では、旧NISAと新NISAの基本情報をもとに、効果的な資産運用のポイントを紹介します。あらかじめ売却のタイミングを考えておき、運用を計画的に進めて長期的な投資戦略を図りましょう。
旧NISAと新NISAの基本情報

NISA(ニーサ)は、投資で得られた運用益が非課税になる国の制度です。通常投資で得た利益には20.315%の税金がかかります。しかしNISA制度では、非課税枠を活用して利益を効率的に受け取れます。
旧NISA制度の基本情報
NISA(少額投資非課税制度)は、2014年に開始された非課税制度です。2024年1月に新NISA制度が始まったため、以前のものは旧NISAと呼ばれるようになりました。旧NISAはつみたてNISAと一般NISAの2種類があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
項目 | つみたてNISA | 一般NISA |
非課税保有期間 | 最長20年間 | 最長5年間 |
投資対象商品 | 投資信託 | 株式・ETF(上場投資信託)・投資信託・REIT(不動産投資信託) |
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 |
売却可能時期 | いつでも可能 | いつでも可能 |
旧NISAは2023年に新規買い付けが終了しました。しかし、すでに投資した資金は、各投資が開始された時期に応じた非課税保有期間まで運用が可能です。
新NISA制度の基本情報

新NISAは、2024年1月から開始された非課税投資制度です。新NISAの種類はつみたて投資枠と成長投資枠の2種類で、次の特徴があります。
項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
非課税保有期間 | 無制限 | 無制限 |
投資対象商品 | 投資信託のみ | 株式・ETF・投資信託など |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
売却可能時期 | いつでも可能 | いつでも可能 |
利用対象者は日本に住む18歳以上で、1人1口座です。新NISAは2つの枠を併用でき、年間の投資枠は合計360万円までが非課税対象となります。非課税保有期間は、無制限です。
非課税保有限度額(総枠)は1,800万円で、そのうち成長投資枠は最大1,200万円までが上限です。売却した場合でも翌年以降に投資枠が復活するため、再利用して運用できます。
» 新NISAとは?特徴とメリット、デメリットを解説!
» 新NISAは何歳から?年齢制限と年代別の運用方法を解説!
旧NISAと新NISAの違い
旧NISAと新NISAは、どちらも投資で得た利益が非課税になる点で違いはありません。しかし保有期間や年間の投資枠など、いくつかの重要な点が異なります。違いを次の表にまとめました。
項目 | 旧NISA(〜2023年) | 新NISA(2024年1月〜) |
対象者 | 日本に住む18歳以上 | 日本に住む18歳以上 |
非課税保有期間 | 最長20年間 | 無制限 |
投資対象商品 | 投資信託・株式・ETF・REITなど | 株式・ETF・投資信託など |
年間投資枠 | つみたてNISA:40万円 一般NISA:120万円 | つみたて投資枠:120万円 成長投資枠:240万円 |
非課税保有限度額(総枠) | つみたてNISA:800万円 一般NISA:600万円 | 1,800万円(うち成長投資枠:1,200万円) |
ロールオーバー | 一般NISAは可能 | 不可 |
旧NISAで採用された保有期間の制限は、新NISAでは無制限となったためありません。いつ始めても限度額まで投資可能です。
新NISAの大きなメリットの一つは、つみたて投資枠と成長投資枠の併用ができることです。旧NISAでは、つみたてNISAか一般NISAのどちらか一方しか選べませんでした。一方、旧NISAは新NISAと別枠で管理されるため、新NISAの上限である1,800万円とは別に運用を継続できます。
年間投資上限額が拡大され、非課税保有限度額の上限も上がったため、より多くの資産を運用できるようになりました。
» 新NISAの上限額と非課税保有限度額を解説!
【2パターン】旧NISAの非課税期間終了後の対応策

旧NISAは保有期間が決まっているため、非課税期間終了後には2つの選択があります。課税口座に移管するか、非課税期間内に売却するかです。
課税口座に移管する
NISAの非課税期間が終了すると、何らかの手続きを取らなければ自動的に課税口座へ移管されます。移管する金額は購入したタイミングではなく、非課税期間満了時(自動の場合は年末時点)の時価で計算された評価額です。
移管後の資産は課税対象になるため、配当金や売却益に対して20.315%が課税されます。移管手続きの方法は金融機関によって異なるため、次の項目を確認しましょう。
- 手続きの方法と期限
- 手数料や税金
資産管理のアプリやツールを使えば、現在のNISA口座の運用状況がすぐに把握できます。年間や過去の運用履歴を確認しながら、移管するタイミングを考えましょう。
非課税期間内に売却する
非課税期間内に売却するのは、有効な手段です。通常、投資で利益が出ると課税対象となり税金がかかります。しかし非課税期間内に売却すれば、利益が確定しても税金はかかりません。
ただし、売却するタイミングの見極めは重要です。NISAは損益通算の対象外のため、売却時に損失が出ている場合、税制優遇はできません。
旧NISAは非課税保有期間が決まっているため、運用を開始した年と終了する年を事前に把握しておきましょう。
- つみたてNISA:投資開始から20年(2023年開始で2042年まで)
- 一般NISA:5年(2023年開始で2027年まで)
売却手続きを取らなければ、自動で課税口座に移管されるのも忘れてはいけません。まとまった金額は、次の投資先に活用することで、資産を増やす期待ができます。新NISAの枠を使用した再投資も検討しましょう。
» 新NISAの具体的な投資シミュレーションを解説!
旧NISAから新NISAへの移行方法

結論からいうと、旧NISAと新NISAは別枠で管理されるため移行はできません。新旧NISAのロールオーバーの有無についてと、金融機関の変更について詳しく解説します。
新旧NISAのロールオーバーの有無を確認する
旧NISAの一般NISAで可能だったロールオーバーは、新NISAにはありません。ロールオーバーとは、新たなNISA口座に移管することです。旧NISAで期間を超えて運用したい場合は、ロールオーバーすることで運用を長く続けられました。
ロールオーバーをしたいと考えるなら、一度売却し、同じ金融商品を新NISAで購入すれば実質同じになります。ただし銘柄によっては、売買手数料がかかる可能性があることに注意してください。
購入予定の商品があるか、事前に確かめておきましょう。旧NISAで取り扱い可能な商品が、新NISAで購入できるとは限りません。旧NISAは非課税保有期間が終わると課税口座に移管されます。非課税期間内に売却し、税がかからない状態で利益を確定させれば、そのまま次の運用資金にあてるのもおすすめです。
» 新NISAへのロールオーバー
旧NISA口座と新NISA口座の金融機関を変更する
NISA口座の金融機関を変更する際は、自分で手続きが必要です。変更申請は新しい金融機関に申し込み、手続きをします。書類は下記の3つが必要です。
- 変更前の金融機関:勘定廃止通知書か非課税口座廃止通知書
- 新しい金融機関:NISA口座申込書(届出書)
- 本人確認:マイナンバー書類
NISA口座の手続きを行えるのは1年に1回のみです。金融機関の変更を考えている方は次の表を参考にしてください。
状況 | 申し込み期間 |
現在NISA口座で取引していない場合 | 9月末まで |
現在NISA口座で取引している場合 | 10月以降(翌年分の口座開設) |
ただし、スケジュールは金融機関によって異なります。移管手続きに時間がかかる場合もあるため、早めの手続きを検討しましょう。
【失敗回避】旧NISAから新NISAに移行する際のポイント

旧NISAから新NISAに移行したい場合、投資戦略をあらかじめ考えておくことは大切です。非課税枠を管理し、資産運用の見直しをしましょう。
非課税枠を管理する
年間の非課税枠を管理し、有効に活用しましょう。旧NISAで新たな投資はできないため、非課税保有期間を把握し期間内に売却すれば、税金がかからず利益を得られます。新NISAは保有期間が無制限のため、制約はありません。
しかし非課税金額の上限は決まっているため、範囲内での運用が大切です。新NISAの年間の上限は、つみたて投資枠で120万円、成長投資枠は240万円(併用すれば合計360万円)になります。
非課税保有限度額は1,800万円で、そのうちの1,200万円が成長投資枠の上限です。毎年360万円を投資すれば、5年で上限の1,800万円に達します。新NISAは売却した枠の再利用が可能で、売却回数に制限はありません。アプリやツールを使い管理すれば、税制優遇の恩恵を受けられます。
資産運用の見直しをする
旧NISAを新NISAに移行するタイミングは、資産運用の見直しをするチャンスです。運用してきた資産のパフォーマンスを確認し、計画を立てましょう。具体的には、長期的な投資目標に合わせて資産配分を調整します。
- リスクとリターンのバランスを再評価する
- ポートフォリオの多様化を検討する
- コストを最小限に抑える方法を探す
現在のポートフォリオが、自分のリスク許容度に見合っているか確認しましょう。その上で債券や株式、投資信託などさまざまな資産を検討します。コスト(信託報酬や手数料、税金)が低い商品は、投資リターンの恩恵を受けられるため、積極的に考えたいポイントです。
不安がある場合は、ファイナンシャルアドバイザーへの相談もおすすめです。専門的なアドバイスを受けて、自分に合った投資戦略を進めましょう。
新NISA制度の活用方法

新NISA制度の活用方法を紹介します。無制限の非課税期間を利用し、効果的な運用を目指しましょう。
新NISAの商品を活かす
旧NISAより大きく変更があった、新NISAを活用しない手はありません。新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠があり、併用可能です。合わせて年間360万円まで投資でき、非課税保有期間は無制限です。ただし成長投資枠の最大1,200万円を含む1,800万円が、非課税保有限度額となります。
つみたて投資枠では、一定の基準を満たし国が認定した投資信託のみ購入可能です。成長投資枠では、株式やETF(上場投資信託)、IPO(新規公開株)などさまざまな商品を購入できます。金融機関によって購入できる商品は違うため、事前に確認しましょう。
一括投資が可能な成長投資枠は、大きなリターンが見込めます。長期運用が可能なつみたて投資枠と併用すれば、リスク分散が可能です。手数料を含むコストの低い商品を選べば、リターンの際に恩恵を受けられます。
新NISAのポートフォリオを構築して活かす
投資の目的を明確にし、ポートフォリオを作成しましょう。ポートフォリオは年齢や目的によって異なるため、作成する際は、以下を押さえましょう。
- 現金を含めた資産配分を決める
- 分散投資をする
- 長期的な運用を意識する
- コスト(信託報酬や手数料、税金)を比べる
- リスク許容度を把握する
ポートフォリオは定期的に見直し、リバランスを図ります。自分の生活が変わったときは、見直すチャンスです。大切なのは、自分にとってのリスク許容度を見極めることです。
リスク許容度は、年齢や収入によって異なります。「どの程度の損失でも許容できるか」と「マイナスの数字を見ても平常心を保てる限度はどこか」を考えましょう。
適切な運用のために、情報収集は大切です。突然起こる市場の変動は避けられませんが、市場や経済の動向をチェックしつつ、冷静な判断を心がけて運用しましょう。投資は長期的な視点で考えます。短期的な値動きに惑わされず、コツコツ運用してください。
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旧NISAの資産を売却するタイミング


旧NISAの資産の売却はいつでもできます。次のポイントを意識して、自分に合ったタイミングを見極めましょう。
- 非課税期間が終了したとき
- 値下がりしそうなとき
- 資金が必要になったとき
非課税期間が終了したとき
非課税期間が終了したときは、売却する絶好のタイミングです。旧NISAで非課税期間が終了すると、保有している金融商品は自動的に課税口座へ移管されます。課税口座に移管されると、以降は運用益に対して20.315%の税金がかかります。旧NISAの非課税保有期間は、以下のとおりです。
- つみたてNISA:20年
- 一般NISA:5年
課税口座に移管する際の取得原価は、時価で決まり、自動で移管する場合は年末時点の価格です。損失が発生している場合もそのまま移管され、税務上の控除対象とはなりません。
移管する前に売却すれば、課税されずに利益を受け取れ、新NISAにあてることも可能です。利益がある場合は非課税で受け取れるメリットを活用し、損失があれば今後の投資戦略を見直す機会です。売却でまとまった金額を得て、再投資や資産形成に役立てましょう。
値下がりしそうなとき


非課税期間終了前に値下がりしそうなときは、売却を検討しましょう。売却タイミングは、以下が予想されるときです。
- 市場全体が下落傾向
- 経済や企業業績の悪化
- 利上げなど金融政策の変更
- 世界的に政治が不安定
世界経済や国内経済の悪化にともない金融市場が不安定になると、多くの金融商品が下落する可能性が高まります。中央銀行が金融政策で金利を引き上げる場合も、株価は下がる可能性が高いです。世界で政治や社会不安が発生すると、リスクは高まります。
損失を最小限に抑えることは賢明な判断です。非課税期間の終了年を押さえておき、社会の動向をチェックしておきましょう。短期的な変動には惑わされないようにして、ここまで下がったら売るなど、あらかじめ決めておくと判断に迷いません。
資金が必要になったとき
急な出費や大きな支払いがあり、資金が必要になったときは、売却を検討しましょう。NISAはいつでも売却できるのが魅力です。次のような場合は、まとまったお金があると安心です。
- 教育費
- 医療費
- 旅行
- リフォーム
- 借金返済
新NISAで魅力ある商品を購入したい場合も、旧NISAの資金を売却すれば、大きな元手になります。非課税期間が残っていれば、一部を売却し、引き続き残りの運用も可能です。
ただし、売却時には手数料がかかる場合もあるため、金融機関で内容を把握しておきます。資金が必要な場合は、自分のライフプランや目的を考えながら、冷静に判断しましょう。
【必見】旧NISAと新NISAを併用する際の注意点


旧NISAと新NISAは、非課税期間が終了するまで併用をおすすめします。旧NISAの運用がまとまった金額であれば、長期の複利による恩恵を受けられる可能性が高いからです。しかし、併用する際には、気をつけておきたい注意点があります。
旧NISAから新NISAへ移管はできない
旧NISAと新NISA口座は同じ金融機関でもそれぞれ独立した制度であり、移管はできません。旧NISAで保有している商品を新NISAに移管したい場合は、一度旧NISAを売却する必要があります。
旧NISAで非課税期間が終了すると、自動で課税口座に移管され、利益が確定した際にかかる税金は20.315%です。税金がかかる前に売却し利益を確定すれば、最大限の恩恵を受けられます。得た利益をもとにして、新NISAで運用すれば、より大きな運用が可能です。
ただし、旧NISAの枠に再投資はできません。もし旧NISAで運用を継続したい場合は、ギリギリまで売却を見極めましょう。
併用時の資産管理に注意
旧NISAと新NISAは制度が異なるため、併用時の資産管理は個別に確認しましょう。積み立て状況がすぐにわかるように、資産管理ツールを活用すると便利です。旧NISAは非課税期間が終了する年を把握しておき、売却戦略を立てておくとスムーズに運用ができます。
1年に1回はポートフォリオを見直し、必要に応じてリバランスをしましょう。各種手数料や税金の違いを確認し、低手数料の資産に変えればコストが削減できます。リバランスは投資目標に合わせ、リスク許容度をもとに行ってください。
家族で運用している場合は、家計全体を通じたリバランスが求められます。投資にリスクはつきものですが、短期的な変動に惑わされず、長期的な視野で運用しましょう。
まとめ 非課税期間内に売却して新NISAで長期運用をしよう


旧NISAをどうすればいいか、新NISAへの基本や旧NISAとの違いも合わせて解説してきました。旧NISAでは非課税保有期間が決まっているため、次のポイントが大切です。
- 旧NISAから新NISAへの移行を考える
- 新NISA制度の活用方法を知る
- 旧NISAの売却タイミングを見極める
- 売却しない場合、併用する注意点を知る
投資にはリスクがともないます。短期的な値動きに惑わされず、目的にあった長期的な運用を心がけましょう。