債券に投資したいけど、実は債権についてよくわかっていない方は多いです。債券は、お金を借りるために発行される投資の一種で、株式とは違い定期的に利息がもらえます。この記事では、債券の基本や投資のポイントを解説します。最後まで読めば、債券の仕組みや種類、メリット・デメリットについての理解が可能です。
投資初心者でも始めやすいので、記事を参考にし、ポートフォリオ内に債券を組み込んでみましょう。
債券とは

債券への投資を検討する前に、債券がどのような特徴を持っているのかを把握する必要があります。本項では、株式との違いや債券の歴史と役割について解説します。
債券と株式の違い
債権とは、資金調達のために発行された利息付きの借用証書のことです。債券と株式は、両方とも企業や政府が資金調達するための方法になります。債券と株式の違いは、以下のとおりです。
投資の種類 | 債券 | 株式 |
役割 | 資金調達のための借用証書 | 資金調達のための所有権の一部 |
利息 | 定期的に受け取れる | 配当金の支払いが不定期 |
元本 | 償還される | 売却するまでは回収できない |
投資リスク | 低く安定 | 高く変動が大きい |
リスク | 発行体の倒産リスク | 企業の破綻リスク |
債券と株式は、それぞれ異なるリスクとリターンがあります。投資を考える際には、それぞれの特徴を理解し、投資目的やリスク許容度に合った選択をしてください。
債券の歴史と役割
債券の歴史は古く、基本的な概念は古代文明までさかのぼります。債券の歴史は、以下のとおりです。
- 古代の起源
- 古代メソポタミアやエジプトでは、債務証書の形で債権の原型が存在。主に個人間の取引に使用されていた
- 中世ヨーロッパ
- 都市国家や王国が戦争資金や公共事業のために債券の発行を開始。特に、イタリアの都市国家が先駆的な役割を果たす。
- 近年の発展
- 17世紀のオランダとイギリスは、中央政府による組織的な公債発行の先駆けになる
- アメリカ独立戦争
- アメリカ合衆国が戦費調達のために債券を発行
- 20世紀の展開
- 世界大戦や経済危機に対応するために多くの国々が大規模な債券発行を実施。特に第一次世界大戦と第二次世界大戦では、戦費調達のために大規模な国債発行が行われている。
現代では、政府や企業がインフラ整備や事業拡大、金融政策の一環として債券を発行しています。債券は資金調達手段としてだけでなく、投資家にとって安定した収益を得るための投資商品です。債券市場は国際的に資金の流れを円滑にし、経済の安定と成長に役立っています。
サクッと理解!債券の仕組み

債券への投資を始める前に、債券の仕組みを理解しましょう。下記に債券の仕組みを理解するために必要な項目をまとめました。
- 債券の発行プロセス
- 債券の償還と利払いの仕組み
- 債券市場の基本構造
債券の発行プロセス
発行体が債券を発行するプロセスは、下記のとおりです。
- 発行体が資金調達の計画を策定する
- 投資銀行や金融機関との協議を行い、債券の条件を決める
- 目論見書(プロスペクタス)を作成する
- 規制当局へ登録・認可申請をする
- 公募または私募で発行する
- 発行後、二次市場で流通が開始される
上記のステップを経て債券が発行され、投資家は必要に応じて債券を売買できるようになります。
債券の償還と利払いの仕組み

債券の償還とは、発行体が債券の元本を投資家に返済するプロセスです。償還日は債券発行時に定められ、満期日とも呼ばれます。償還方法には、一括償還と分割償還の2種があります。一括償還は満期日に元本全額を返済する方式で、分割償還は一定期間ごとに元本の一部を返済する方式です。
利払いは、債券発行時に約定された利子を定期的に支払うプロセスを指します。利払いの頻度は一般的に年1回または半年に1回です。固定利率債は利払い額が一定で、変動利率債は市場金利に応じて利払い額が変動します。利払い日はクーポン支払日とも呼ばれます。
債券市場の基本構造
債券市場は、公的機関や企業が資金調達のために債券を発行し、投資家が購入する場所です。市場は、一次市場(発行市場)と二次市場(流通市場)に分かれます。一次市場では新たに発行された債券が投資家に販売され、二次市場ではすでに発行された債券が投資家間で売買されます。市場の主要なプレイヤーは、下記のとおりです。
- 政府機関
- 企業
- 金融機関
- 個人投資家
債券価格は主に市場金利や信用リスク、残存期間などが影響します。市場金利が上昇すると、既に発行された債券の価格は下落し、逆に市場金利が低下すると債券の価格は上昇する傾向です。信用リスクは発行体の信用力に依存し、信用力が高い発行体の債券は安定した価格を保ちます。
残存期間が短い債券は価格変動が少ないですが、長い債券は価格変動が大きくなります。債券市場は流動性が高く、投資家が必要に応じて債券を売買しやすいです。市場の透明性と規制は、投資家保護と市場の健全性を保つために重要です。
透明性が高い市場では、価格情報や取引状況が公開されているため、投資判断がしやすくなります。市場規制は不正行為を防ぎ、信頼性を高めます。債券市場の理解は、投資戦略を立てるうえで欠かせない要素です。
債券の種類と特徴

債券にはさまざまな種類があります。種類ごとの特徴を下記にまとめました。
国内債券と外国債券
国内債券は、日本国内の発行体が日本円で発行する債券です。日本国内の金融市場で取引され、日本円で取引されるため為替リスクがありません。国内債券は比較的安定した利回りがあり、日本国内の投資家に人気があります。一方で、外国債券は海外の発行体が外国通貨で発行する債券です。
外国債券は外国政府や国際機関、海外企業が発行することが多いです。外国債券は利回りが高い傾向にあります。ただし為替リスクが伴うため注意が必要です。外国通貨で発行されるので、為替の変動によって債券の価値が変動するリスクがあります。
外国債券は海外の金融市場で取引され、国際分散投資を目指す投資家に人気がある商品です。国内債券と外国債券の違いを理解することは、バランスよく分散投資するために欠かせません。
国債・地方債・社債

国債や地方債、社債はそれぞれ異なる発行体によって発行される債券であり、信用リスクと利回りに違いがあります。それぞれの違いは以下になります。
- 国債
- 国が発行する債券で、信用リスクが低く、投資家にとって安全な投資先です。ただし、利回りは低い傾向にあります。国債の資金は、主に国の財政赤字を補填するためや公共事業資金に使用されます。
- 地方債
- 地方自治体が発行する債券で、地方公共団体の事業資金調達に利用される債券です。国債よりも信用リスクがやや高いですが、利回りは若干高い傾向にあります。地域のインフラ整備や、教育施設の建設資金に充てられることが多いです。
- 社債
- 企業が発行する債券で、企業の資金調達手段の1つです。信用リスクは発行企業に影響します。国債や地方債に比べて利回りは高い傾向です。企業の設備投資や事業拡大のための資金調達に使用されます。
債券は異なるリスクとリターンの特性を持つため、投資する際はそれぞれの特徴を考慮しましょう。
新発債と既発債
新発債は市場で初めて発行される債券です。政府や企業が新たな資金調達のために発行し、価格は発行価格が基準になります。発行時に購入するため、利率や償還日などの条件が明確で固定されており、投資家が安心して購入できます。
既発債は、すでに市場に出回っている債券です。二次市場で取引されるため、価格は市場の需給によって変動します。既発債の購入は、市場価格で即時に売買ができるなど流動性が高く、投資家間で広く取引されています。既発債は市場の金利変動の影響を受けやすく、利回りが変動する点に注意してください。
新発債は抽選方式での購入になることもあります。既発債は、市場の価格変動に柔軟に対応できるため、投資戦略を立てやすいです。それぞれの特徴を理解すると、より効果的に債券投資ができます。
利払い方式別の債券

債券には、利払い方式がいくつかあります。主な利払い方式を下記にまとめました。
種類 | 詳細 |
固定利付債 | 一定の利率で定期的に利息が支払われる債券 |
変動利付債 | 市場金利に連動して利率が変動する債券 |
割引債 | 発行時に額面金額よりも安く発行され、償還時に額面金額が支払われる債券 |
利子累積債 | 利息が元本に加算され、償還時に元本と利息が一括で支払われる債券 |
物価連動債 | 物価指数に連動して元本や利息が変動する債券 |
上記のように、利払い方式によって債券の特徴やリスクが異なります。投資目的やリスク許容度に応じて、最適な債券を選びましょう。
担保付債券と劣後債
担保付債券と劣後債は、どちらも企業が資金を調達するために発行する債券です。両者は特性やリスク、リターンの観点で異なります。担保付債券は、特定の資産を担保にすることで、元本や利息の支払いを保証します。安全性が高く、投資家にとっては低リスクの投資先です。一般的には、不動産や設備投資などの大型プロジェクトで使われます。
劣後債は、他の債務と比べて劣後する権利を持ちます。企業が破綻した場合に、他の債務よりも後に支払われるため、リスクが高いです。リスクの高さに応じて高い利回りが設定されることが多く、リスクを取る投資家には魅力的です。金融機関が自己資本比率を向上させるために活用します。
投資家は、担保付債券と劣後債の特性を理解し、リスクとリターンのバランスを考慮して選択する必要があります。
債券に投資する3つのメリット

債券の主なメリットを下記にまとめました。
- 定期的な利子収入
- 元本の保全
- リスク分散効果
定期的な利子収入
定期的に利子収入を得られる点は、債券投資のメリットの1つです。債券の利子は決められたスケジュールで支払われるため、収入の安定性を確保できます。年利3%の債券であれば、額面金額に対して毎年3%の利子が支払われます。結果として安定した収入源となり、生活費や将来の資金計画に有効です。
利子収入の再投資は、複利効果も得られます。再投資によってさらに利子がつくため、資産の増加スピードが加速します。利子収入は景気の影響を受けにくいため、景気の変動リスクを低減可能です。債券投資は、安定した収入を得たい方にとって有効な手段になります。
» 複利を理解しよう!簡単な計算と効果を最大化する方法
元本の保全

債券投資は、元本の保全もメリットの1つです。債券は元本を保全する金融商品であり、多くの投資家に人気があります。国債や信用力の高い企業債は、元本保全の可能性が高いです。元本が保全されることで、投資家はリスクを最小限に抑えられます。
リスク分散効果
リスク分散は、投資をするうえで重要です。異なる資産クラスに分散することで、全体のリスクを軽減できます。株式と債券を組み合わせると、ポートフォリオの安定性が向上します。債券は株式市場と逆相関であることが多いため、株式市場が下落しても価格が上昇しやすいです。
債券は元本返済の確実性が高く、定期的な利子収入もあるため、投資の収益性を確保する役割も果たします。外国債券を組み入れると、通貨分散の効果も得られ、より分散効果が高まります。債券をポートフォリオに組み入れれば、株式市場の影響を受けにく、全体のリスクの分散が可能です。
長期的な資産価値の安定を図れるため、投資をするうえで債券の組み入れは重要です。
【失敗回避】債券のデメリット

債券には、メリットだけでなくデメリットもあります。債券のデメリットは、下記のとおりです。
- 価格変動リスク
- 発行体の信用リスク
- 為替変動リスク(外貨建ての場合)
価格変動リスク
価格変動リスクは、債券投資における大きな課題です。市場金利の変動は、直接的に債券の価格に影響を与えます。金利が上昇すると債券の価格は下落し、逆に金利が低下すると債券の価格は上昇します。金利の変動は投資家にとって重要です。債券の残存期間が長いほど価格変動リスクが大きくなります。
インフレ率の変動も債券の価格に影響を与えます。インフレが進行すると実質利回りが低下し、債券価格が下落することも珍しくありません。債券の発行体の信用力の変化も、価格に影響します。発行体の信用力が低下すると、投資家はリスクが高まると判断し、債券の価格下落につながる場合があります。
債券市場全体の流動性も、価格変動を引き起こす要因です。市場が流動性不足に陥ると、取引が難しくなり、価格が大きく変動しかねません。価格変動リスクの理解は、債券投資を成功させるために不可欠です。
発行体の信用リスク

発行体の信用リスクとは、債券を発行する企業や政府が、債券の利息や元本を期日に支払えないリスクのことです。信用リスクが高い発行体の債券は、一般的には高い利回りが求められます。信用格付け機関(ムーディーズやS&P、フィッチなど)による格付けが信用リスクの評価に役立ちます。
高い信用リスクを持つ発行体の債券は、債券価格に影響し、投資家にとっての損失につながりかねません。デフォルトのリスクが高まると、債券の市場価格が急落する可能性もあります。発行体の財務状況や業績、経済環境なども信用リスクに影響を与える要因です。
投資家は信用リスクを分散するために、複数の発行体の債券をポートフォリオに組み入れると安心です。
為替変動リスク(外貨建ての場合)
為替変動は、外貨建て債券を保有する際に考慮すべきリスクになります。外貨建て債券の価値は、投資した通貨の為替レートに大きく依存します。為替変動は、投資リターンに大きな影響を与えるため注意が必要です。為替変動リスクに対しての対策として、為替ヘッジがあります。
為替ヘッジは、為替変動によるリスクを軽減できます。ただし、為替ヘッジには費用がかかるので注意しましょう。外貨建ての債券に投資する際は、為替変動リスクの考慮が欠かせません。
債券を選ぶ際の注意点

債券を選ぶ際に、注意すべきポイントがいくつかあります。主なポイントを下記で解説します。
投資目的に応じた債券を選ぶ
投資目的に応じた債券の選定は、資産運用の成功に欠かせません。債券の選択は、投資の目標に直結するので、慎重に行う必要があります。投資目的に応じたおすすめ債券は以下のとおりです。
- 資産の安定性を重視する場合:国際や高信用格付けの社債
- 高利回りを狙いたい場合:信用リスクの高いハイイールド債や新興国債券
- 短期の流動性を重視する場合:短期国債や短期社債
- インフレヘッジする場合:物価連動国債
- 為替リスクを取りたくない場合:円建ての債券
上記のように、投資目的に合った債券を選ぶと、リスク管理をしながら期待するリターンが得られます。
» 新興国投資のリスクとメリットが理解できる!おすすめできる人の特徴や成功のポイントを詳しく解説
信用力と利回りのバランスをとる
信用力と利回りのバランスを取るには、発行体の信用リスクと利回りを考慮する必要があります。信用力の高い発行体は低い利回りですが、リスクが少ないため安心です。一方で、信用力の低い発行体は高い利回りですが、リスクも高まります。投資先のポートフォリオ全体でリスク管理をすることが重要です。
1つの債券に投資するのではなく、複数の債券への分散投資で、特定の発行体に依存するリスクを分散できます。経済状況や金利動向も考慮して、債券の種類や発行体を選ぶ必要もあります。信用力と利回りのバランスを考慮し、長期的な視点で投資判断を行いましょう。安定した収益とリスク管理を両立させられます。
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まとめ 基本は投資信託で債権はトッピングとして運用を考えよう!


債券は、定期的な利息収入と元本保全を期待できる投資手段です。ただし、価格変動や信用リスクなどのデメリットも存在します。投資目的に応じて適切な債券を選び、リスクとリターンのバランスを考慮してください。債券に投資する際は、債券市場の基本的な仕組みを理解し、適切な情報収集と分析を行いましょう。
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