新NISAを活用したシミュレーションを紹介【NISA枠を活用する具体的な方法】

「新NISAで投資を始めたいけれど、どれくらいリターンが期待できるのかわからない…」
こんな悩みが解決できます。

2024年から始まった新NISAは、非課税投資枠が大幅に拡大され、多くの人にとって魅力的な制度となりました。しかし、具体的にどのくらいの利回りや投資金額でどのようなリターンが得られるのか、イメージがつかみにくいのが現状です。

この記事では、新NISAを活用した具体的なシミュレーションを行い、投資リターンの目安を紹介します。利回り別、投資金額別、目標金額別のシミュレーションの3パターンです。記事を読むと、自分に合った投資スタイルを見つけ、実現可能な目標を設定するための具体的な金額がわかります。

新NISAの基本情報

2024年1月から改正された新NISAは、個人投資家の資産形成を後押しする画期的な制度です。長期積立投資を重視し、より柔軟で効果的な投資が可能になりました。「新NISAと旧NISAの主な違い」と「新NISAの投資枠と非課税枠の詳細」について解説します。

新NISAと旧NISAの主な違い

新NISAは旧NISAから大きく進化し、以下の3点で大きな変更がありました。

項目	旧NISA	新NISA
制度の構造	一般NISA・つみたてNISAの2制度	成長投資枠・つみたて投資枠の2階建て構造
年間投資枠	一般NISA：120万円 つみたてNISA：40万円	成長投資枠：240万円 つみたて投資枠：120万円 (合計360万円)
非課税期間	一般NISA：5年間 つみたてNISA：20年間	無期限
投資可能期間	2023年まで	恒久化
非課税保有限度額	一般NISA：600万円 つみたてNISA：800万円	1,800万円(成長投資枠のみの場合1,200万円)

上記の変更により、新NISAはより長期的かつ柔軟な投資戦略を立てやすくなりました。

新NISAの投資枠と非課税枠の詳細

新NISAの投資枠と非課税枠は、以下の特徴を持っています。

新NISAの投資枠を最大限活用した場合の非課税投資額の推移は以下のとおりです。

経過年数	累計投資可能額	備考
1年目	360万円	初年度の投資枠
3年目	1,080万円	3年間の累計
5年目	1,800万円	非課税保有限度額に到達
6年目以降	1,800万円	投資元本が1,800万円以下にならないと 追加投資できない

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を組み合わせると、より効果的な資産形成が可能です。つみたて投資枠では長期・分散投資を行い、成長投資枠では自身の投資戦略に合わせた柔軟な運用ができます。

新NISAは個人投資家にとって魅力的な制度です。しかし、自身の資産や投資目標に合わせて最適な活用方法を考える必要があります。
» 新NISAの上限額と非課税保有限度額を解説！
» 新NISAは何歳から？年齢制限と年代別の運用方法を解説！

【利回り別】新NISAを活用したシミュレーション

新NISAを活用する際、利回りを予測して資産運用のシミュレーションを行うことが重要です。利回り別の以下の3パターンを解説します。

想定利回り年率7％のシミュレーション

年率7%の利回りは、株式投資で長期的に期待できる水準とされています。下記の表からわかるように、毎月3万円を30年間、年率7％の利回りで積み立てた場合、最終的な資産額は約3,660万円です。投資元本の合計は1,080万円なので、2,580万円もの運用益が得られます。

積み立て額	10年	20年	30年
毎月1万円	173万円	521万円	1,220万円
毎月3万円	519万円	1,563万円	3,660万円
毎月5万円	865万円	2,605万円	6,100万円
毎月10万円	1,731万円	5,209万円	12,200万円

7%という比較的高い利回りを30年間維持できれば、投資元本の3倍以上の資産を築くことが可能です。7％の利回りを長期間維持するには、リスクを取る必要があることも覚えておきましょう。

想定利回り年率5％のシミュレーション

年率5%の利回りは、株式と債券をバランス良く組み合わせた中リスク・中リターンの投資戦略で期待できる水準です。毎月3万円を20年間積み立てた場合、最終的な資産額は約1,233万円になります。投資元本の合計は720万円ですので、513万円の運用益が得られる計算です。

シミュレーションは以下のとおりです。

積み立て額	10年	20年	30年
毎月1万円	155万円	411万円	832万円
毎月3万円	466万円	1,233万円	2,497万円
毎月5万円	776万円	2,055万円	4,161万円
毎月10万円	1,553万円	4,110万円	8,323万円

5%の利回りであれば、20年間で投資元本の約1.7倍の資産を築ける可能性があります。5％程度の水準であれば、比較的安定した運用で達成できる可能性が高いです。

想定利回り年率3％のシミュレーション

年率3%の利回りは、比較的安全性の高い投資で期待できる水準です。債券中心の運用や、安定性を重視した投資信託などで想定される利回りです。毎月3万円を20年間積み立てた場合、最終的な資産額は約985万円になります。投資元本の合計は720万円なので、265万円の運用益が得られる計算です。

シミュレーションは以下のとおりです。

積み立て額	10年	20年	30年
毎月1万円	140万円	328万円	583万円
毎月3万円	419万円	985万円	1,748万円
毎月5万円	699万円	1,642万円	2,914万円
毎月10万円	1,397万円	3,283万円	5,827万円

3%の利回りであれば、20年間で投資元本の約1.4倍の資産を築ける可能性があります。リスクを抑えた運用でも、長期的には一定の資産形成が可能です。

【投資金額別】新NISAを活用したシミュレーション

新NISAでは、年間投資上限枠が大幅に拡充されました。投資金額別の以下の3パターンを解説します。

毎月1万円積み立てるシミュレーション

毎月1万円の積み立ては、多くの人にとって始めやすい金額です。仮に20年間、年利5%で運用した場合、最終的な資産額は約411万円になります。投資元本の合計は240万円ですので、171万円の運用益が得られる計算です。

シミュレーションは以下のとおりです。

利回り	10年	20年	30年
3%	140万円	328万円	583万円
5%	155万円	411万円	832万円
7%	173万円	521万円	1,220万円

1万円という少額からでも長期的に継続することで、元本を大きく上回る資産を形成できる可能性があります。

毎月5万円積み立てるシミュレーション

毎月5万円の積み立ては、ある程度の余裕がある人向けの金額です。20年間、年利5%で運用した場合、最終的な資産額は約2,055万円になります。投資元本の合計は1,200万円ですので、855万円の運用益が得られる計算です。

シミュレーションは以下のとおり。

利回り	10年	20年	30年
3%	699万円	1,642万円	2,914万円
5%	776万円	2,055万円	4,161万円
7%	865万円	2,605万円	6,100万円

5万円の積み立てであれば、20年間で2,000万円を超える資産形成が可能なので、老後資金としても十分です。

毎月10万円積み立てるシミュレーション

つみたて投資枠の満額である毎月10万円の積み立ては、かなりの余裕がある人向けの金額です。20年間、年利5%で運用した場合、最終的な資産額は約4,110万円になります。15年で新NISAの上限1,800万円に到達するので、16年目以降は特定口座で積立します。投資元本の合計は2,400万円なので、1,710万円の運用益が得られる計算です。

シミュレーションは以下のとおりです。

利回り	10年	20年	30年
3%	1,397万円	3,283万円	5,827万円
5%	1,553万円	4,110万円	8,323万円
7%	1,731万円	5,209万円	12,200万円

10万円の積み立てであれば、20年間で4,000万円を超える大きな資産形成ができます。さらに上を目指すなら、成長投資枠(毎月20万円、年間最大240万円)も積極的に利用しましょう。

【目標金額別】新NISAを活用したシミュレーション

資産形成を始める際、多くの人は具体的な目標金額を設定します。目標金額別の以下の3パターンを解説します。

目標金額500万円のシミュレーション

500万円は、例えば子どもの教育資金や住宅の頭金など、中期的な目標として設定しやすい金額です。年利5%で運用した場合、毎月約1.3万円を20年間積み立てると500万円に到達します。毎月約3.3万円を10年間積み立てることでも同様の結果が得られます。

シミュレーションは以下のとおりです。

利回り	10年	20年	30年
3%	3.6万円	1.6万円	0.9万円
5%	3.3万円	1.3万円	0.7万円
7%	2.9万円	1.0万円	0.5万円

500万円という目標は、無理のない範囲で達成可能な金額です。しかし、インフレによる実質的な価値の低下も考慮に入れる必要があります。

目標金額1,000万円のシミュレーション

1,000万円は、多くの人が老後資金の目安として設定する金額です。年利5%で運用した場合、毎月約2.5万円を20年間積み立てると、1,000万円に到達します。毎月約6.5万円を10年間積み立てることでも同様の結果が得られます。

シミュレーションは以下のとおりです。

利回り	10年	20年	30年
3%	7.2万円	3.1万円	1.8万円
5%	6.5万円	2.5万円	1.3万円
7%	5.8万円	2.0万円	0.9万円

1,000万円という目標は、ある程度の収入がある人であれば、十分に達成可能な金額です。20年という長期間の積み立てが必要となるため、途中で挫折しないような計画的運用が求められます。

目標金額2,000万円のシミュレーション

2,000万円は、老後資金として余裕を持った生活を送るための目標金額として設定されるのが多い金額です。年利5%で運用した時、毎月約5万円を20年間積み立てると2,000万円に到達します。毎月約13万円を10年間積み立てても同様の結果が得られます。

シミュレーションは以下のとおりです。

利回り	10年	20年	30年
3%	14.4万円	6.1万円	3.5万円
5%	12.9万円	4.9万円	2.5万円
7%	11.6万円	3.9万円	1.7万円

2,000万円という目標は、かなりの努力と継続性が必要です。新NISAの成長投資枠を最大限に活用すると、より現実的な資産形成が可能となります。2,000万円を目指すとなると、つみたて投資枠だけでなく成長投資枠も検討していくフェーズとなります。

目標金額5,000万円のシミュレーション

5,000万円は、かなり余裕のある老後生活や早期リタイアを目指す人が設定する目標金額です。高い収入と強い意志が必要です。

年利5%で運用すると、毎月約12.2万円を20年間積み立てで、5,000万円に到達します。新NISAの上限1,800万円に到達した後は、特定口座で積立です。毎月約32.2万円を10年間積み立てることでも同様の結果が得られます。

シミュレーションは以下のとおりです。

利回り	10年	20年	30年
3%	35.8万円(不可)	15.3万円	8.6万円
5%	32.2万円(不可)	12.2万円	6.1万円
7%	28.9万円	9.6万円	4.1万円

つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて30万円までの投資しか認められていません。よって利回り3％か5％で10年以内に5,000万円にするのは実質的に不可能です。利回りが低い場合は、15～20年スパンで見ていく必要があります。

新NISAでおすすめのネット証券3選

シミュレーション通りに資産を増やすためには、運用コストの安いネット証券の活用が必要不可欠です。ここでは、つみたて投資枠で運用できる投資信託が多いおすすめのネット証券を3つ紹介します。

新NISAシミュレーションで注意したいポイント

新NISAを活用したシミュレーションを行う際は、以下のポイントに注意が必要です。

シミュレーションを過信しすぎない

シミュレーション結果はあくまでも予測です。実際の投資結果とは異なる可能性があります。市場の変動や経済状況によって、想定した利回りを下回ったり、上回ったりもあります。

シミュレーションは参考程度に捉え、実際の投資では柔軟に対応するのが重要です。定期的に資産状況を確認し、必要に応じて投資計画を見直しをおすすめします。

長期分散投資を心がける

新NISAを活用する際は、長期的な視点で分散投資を心がけるのが重要です。短期的な市場の変動に一喜一憂せず、継続的に投資を行うと、長期的には安定したリターンを得られる可能性が高まります。

実現可能な目標を立てる

シミュレーション結果を見て、過度に高い目標を設定するのは避けましょう。あなたの収入や生活状況を考慮し、無理なく継続できる投資計画を立てるのが大切です。

最初は毎月1万円からスタートし、徐々に増額していくなど、段階的に目標を設定するのも一つの方法です。実現可能な目標を立てると、長期的な資産形成の成功確率が高まります。

まとめ 新NISAはシミュレーションをして必要な金額を積み立てよう

投資において重要なのは、シミュレーション結果を参考にしつつも、自身の状況に合わせた現実的な計画を立てることです。新NISAの非課税枠を最大限に活用し、長期的な視点で分散投資を行うと、効率的に資産形成できます。

新NISAは、多くの人にとって魅力的な投資制度です。新NISAを賢く活用し、着実に資産形成を進めていくと、将来の経済的自由度を高められます。まずは小さな一歩から始め、長期的な視点で資産形成に取り組みましょう。
» 新NISAとは？特徴とメリット、デメリットを解説！